幻想的な光の庭園の奥に
白亜の宮殿が見えてきた。


広大な敷地に優美な佇まい

本当にお姫様が姿を現しそうな
美しく広々としたバルコニー。




「お姫様、着きましたよ」




『……素敵!」


「お気に召しましたか?」


輝夜は嬉しそうに微笑んだ。



「カグヤ様
お帰りなさいませ」


宮殿の正面に着くと
若い精霊が声をかけてきた。



…輝夜……様?



違和感を感じた私は
思わず顔を出してしまった。


「…!?アイリン様!?」


その精霊は私を見るなり
驚いた顔で、そう叫んだ。


『!?えっ!?…私?』




「アイリンではない」


輝夜は少し険しい表情で
そう言った。


「そうですか…あまりにも
似ていらっしゃるので…」


「失礼致しました」


その精霊は、深く頭を下げた。


アイリンって誰なんだろう

それに、輝夜の怖い顔…



『……か…輝夜?…』



「そろそろ家に戻ろうか?」


『あ、うっ…うん!』



話を反らされた気がした。

聞いてはいけないんだと
直感で感じた。




「カグヤ!」


また、違う精霊が
声を掛けてきた。


その、秀麗な容姿から
直ぐに王様だと分かった。


「父上…」



父上…!?
輝夜は…王子なの!?



「その娘は、アイリンの…」


「はい…」


『…あ…あの…初めまして』


「ああ、よく来たね
私は、精霊王のフレアだ」


声も話し方も輝夜に似ている。

瞳の色も同じだ。


そして、ペンダント!

オーロラ色のペンダントも
二人はお揃いだ。




「カグヤ、時空の渦が
また目撃された」


「数匹のフェアリーが
犠牲になってしまった…」


「出来るだけ早く
戻ってくれ」



「…分かりました」


時空の渦!?
フェアリーが犠牲にって…




「では父上、また!」


「ああ、気をつけて」