『……夜通し?』



フェアリーは次々に飛来し
精霊の翼と自分の羽を擦り合わせ
フレアの花粉を移している。


希望の光であるフレアの花粉を
翼いっぱいに蓄えた精霊は

希望の光を振るい落とすように
純白の翼を羽ばたかせ
夜の湖上を飛び続けている。



「…!?愛舞…泣いてるの?」



『……だって…』


『…私達のために…こんなに』




「泣かなくていいんだよ」


「希望の光は
きっかけみたいなものなんだ」


「愛舞はこれまでも
仲間の支えや、自分の努力で
ピンチを乗り越えてきただろ?」


「希望の光が心に届いて
少しでも前向きになれたら
俺達は最高に嬉しいんだ!」




「見守ってるよ
これからも…ずっと…」




輝夜は、涙でグシュグシュになった
私の頬に優しくキスしてくれた。


『…うん…ありがと…っ』




「…愛舞…しょっぱい…」


『えっ!?しょっぱい!?』



「……涙」


『きゃあー!!恥ずかしい!』


「あははは!
また、頭がはみ出てる!」


『だ、だ、だって!』


しょっぱいに動揺して
翼からはみ出してしまった頭を
輝夜はまた、キュッと押し込んだ。


「お忍びなんだから
大人しくして下さい、お姫様!」


『!?お、お姫様って!?』



「あははは!」


何よ!何よ!
笑いすぎなんだから!!


どうせ、お姫様とは
かけ離れてますよ。


翼の隙間からギロッと睨むと

輝夜はまた
吹き出すように笑った。



『もーっ!!』


「あははは!お姫様が怒った」



「では、お姫様
王宮へ向かいますよ!」


『もうーっ!!
からかわないでっ!』


輝夜はクスクス笑いながら
宮殿へ向かって飛び立った。