『…王宮?』



輝夜は、はみ出した私の頭を
翼の中にギュッと押し込むと

もう片方の翼を大きく広げて
ゆっくりと飛び立った。


どこまでもどこまでも続く
フレアガーデン。


淡いピンク色の花びらが
ヒラヒラと風に揺れている。


果てしなく広がる
淡いピンクの色の世界。


光の粒のような花粉が
キラキラと舞い上がり

淡いピンクの色の世界を
優しく包み込んでいる。





果てしなく広がる
フレアガーデンの先には


光り輝く場所があり


さらにその先には
宮殿が蜃気楼のように見えた。


輝夜はスピードを緩めると
その光り輝く場所へ
静かに降り立った。



「ここは、この世界の
心臓部だよ」



そこには想像もつかない景色が
広がっていた。


満々と光を湛える、光の湖。

月の光が滝のように湖に流れ
湖面には光るさざ波が立っている。


湖上では、翼を持った男達が
優雅に飛び交い

羽ばたく度に舞い散る光の粒が
光の湖へと吸収されていく。




「ここで、月の光に希望の光を
ブレンドしているんだよ」


「湖の底は空洞になっていて
希望の光を含んだ月の光を
その空洞を通して届けているんだ」


「この月の光が届く世界は
湖面から見ることが出来るんだよ」


「愛舞のことも、ずっと
ここから見ていたんだ」



『…私のことを?』



「そうだよ」



恥ずかしそうに微笑む、輝夜。

私だって、恥ずかしいよ。



「新しい朝が
少しでも前向きであるように」


「俺達は、いつもそう願って
夜通し飛び続けてる」