『輝夜、夕食は?』


「食べたよ」

「愛舞はちゃんと食事してても
小さいな」



147cmで止まってしまった
私の身長。



『輝夜は、何cmあるの?』


「測ったことない」


『ほんと!?』

『…測ってみようか?』



確か、引き出しに
30cmの定規があったはず。


『あったー!』


立ったままで測ったら
頭の方が届かないな。


『輝夜、横になって』


「…横!?」


そう言われ、輝夜は素直に横になった。



『…30……60……90……』


まだ脚が終わらない。



『…120……150……』


首元まで到着すると
定規を持つ手に吐息を感じた。


恥ずかしそうに視線をずらしている
輝夜の顔が視界に入り

何だか可愛く思えた。



『180…183…183cmだよ!』


そう言うと輝夜は
呆れた顔をして起き上がり


『可笑しな測り方だ!』


と言って、私の頭を抱え込むと
髪をクシャクシャにした。


『いやあー!止めてー!』



二人でじゃれ合っていると

いつの間にか、両手首を掴まれ
全く動けなくなっていた。



『いやあー!離してー!』


「離さないよ!」


輝夜は左手で両手首を掴んだまま
スルリと背後に回り
右腕で私の両腕を固定した。


「もう、逃げられないよ」


全く、身動きが取れなかった。




「…ま……参りました』



「俺の勝ち!」

「小さいな、愛舞
俺の中に隠れてしまう」


『ズルイ!輝夜と私は
大人と子供くらい違うんだから!』


「うん、ごめん」


輝夜は私の手首と腕を解放すると
今度は優しく包んでくれた。



『………あっ…』


「…何?」


『………ううん』



胸が、キュンとしたなんて
言えなかった。