「須崎君...さっきはありがとう。」

「あ、うん。どういたしましてっ。」

授業が無事終わり、
お礼を言う私に、眩しい笑顔を向ける須崎 翔也君。

隣の席の男の子。

明るめの茶色の髪ですこし長い前髪をピンで止めている。
軽く焼けた肌に二重のパッチリとした目、通った鼻、薄い唇。

校内はもちろん、校外でも人気者の美形男子。

「それより、吉田さん珍しくぼーっとしてたけど大丈夫?」

「あ、うん。」

心配してくれる優しさ。
容姿だけじゃなくて、こういう性格の良さも人気者になったひとつの要素なんだろうな。

「翔也!早く行こうぜ。」

友達を待たせていたのか、その声を聞いて須崎君は「じゃあ!」と手を振ってその友達の元へ走って行った。

「春菜。ご飯食べるよ。」

千紗は弁当を目線のところまで持ち上げ軽く揺らす。

「あー、うん。」

もうお昼かぁ。なんて考えながら、
鞄から弁当を取り出し“いつもの所”へ向かった。