「千紗ぁ。どうしたら...恋出来ると思う?」

休み時間。
机に突っ伏し、頭をフル回転させながら親友に問いかける。

私は、吉田 春菜。
青春を楽しんでいる...とは言えない高校2年生。

「自分で考えろ。馬鹿。」

私を冷たい目で見てそう言い放つのは、
私の親友、晴瀬 千紗。

千紗は私と違って彼氏がいる。
つまり、青春を楽しんでいる派。っていうわけ。

「千紗。冷たーい。」

「あ。そう。...で?」

そう言って私を見る千紗。
千紗さん...目が怖いです。


そんな時。
ふと耳に入ったのは、この学校で有名な“保健室の王子”の話。

『ねぇ、聞いた?王子...きたんだってぇ!』

『聞いた聞いた...!!』

『私...。わざと怪我して保健室行っちゃおうかなぁ!』

『えー。なら私も!!』

“保健室の王子”は病弱でなかなか学校に来れず、来れたとしてもずっと保健室に居るって言うある男の子のこと。

どうやら、容姿が整っているらしく、ひと目でも見た人は恋に落ちる...なんて言われている。

「保健室の王子...。どんな人なんだろ...ね?千紗...。」

そう言って千紗のいた方を向くと、そこには千紗の姿はなかった。

そういう時はだいたい彼氏のとこ。

私は、はぁ。とため息をついて窓の外を眺める。

まあ、窓の外を見ても北校舎が見えるだけなんだけどね。