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東京土産と思出話を抱えて出勤すると、おかえり、の言葉で迎えられた。
香乃ちゃんから都会の匂いがする!なんて加藤さんの冗談に笑いが起きて、アットホームな空気。
帰ってきてよかった、と思った。
「香乃ちゃん、スッキリした顔してる。ちょっとは元気になったみたいで安心した」
谷上さんにそう言われて、少し照れる。
食欲のなさも、気がついたら普通になっていたし。
私って、我ながら単純?
「残念ながら、笠岡くんは今日はお休みだけどね」
「残念ながらって、どういうことですかー」
「会ったんでしょ?向こうで」
「食事だけですよ」
「本当に?東京でなにかあったんじゃない?」
勝手に盛り上がっているのは、谷上さんと加藤さん。
「笠岡くんが香乃ちゃんを簡単に返すと思う?」
「怪しいですよねー、香乃ちゃんは見知らぬ土地で逃げ場なかったわけだしー」
必死に否定したらいけないって思って、軽く話に乗ってみたりして。
なんか、楽しい。
「笠岡さん、香乃ちゃんのこと心配して、連れて帰ってきちゃうんじゃないってみんなで心配してたの」
確かに、心配はしてたけど。
笠岡さんは、どうだったんだろう。
逃げて捨てた東京という街を数年ぶりに瞳に映して。
辛くなかっただろうか。
考えれば考えるほど、気がかりだった。