まただ
また私、蓮見さんに訊けない。
「どうした?千草」
「いえ、なんでもないです」
何でもないわけじゃないのに。今はそう答えることしかできない。
きっと私の知らないこと、たくさんあるんだ。
出された食事はフレンチだった。
前菜やメインもどれもおいしくて、
おなかいっぱいでデザートを食べ終わる頃には
もうスプーンが動かなかった。
「それにしても、千草ちゃんみたいな可愛い子が
うちのお嫁さんに来てくれるなんて本当に嬉しいわ」
「ありがとうございます、ふつつか者ですが
よろしくお願い致します」
「やだ、そんなかしこまらないでね。
それで?婚姻届はいつ出しに行くのかしら?」
「それは本日持ってきましたよ、千草」
…そうだっ!そうだった!急に頭が真っ白になる。
お父さんにも蓮見さんにもちゃんと相談できないまま
ここまで来てしまったんだ。
どうしよう…


