「もしもし」
「何、その気持ち悪い声」
人が今どんな気持ちでいるかなんてこの人は分かってないから
そんなことが言えるんだ。
でも反論する気も今はない。
ちくりと痛む、胸。心の中で蓮見さんに謝罪をする。
「どうした?」
「何でもないです、蓮見さんはお仕事ですか?」
「ああ。今から韓国までちょっとな」
「相変わらず忙しそうですね」
「まあな。次期跡取り候補なもんで」
「よく言いますね」
なんでだろう?今本当はこんなこと思ったらいけないのに。
蓮見さんの声を聞くと落ち着く。
「今空港に向かってるんですか?」
「そう。お土産欲しい?」
「結構です!」
「相変わらず可愛くないな、君は」
「放っておいてください」
「千草」


