言われて考えていきつく一つの答え。 そうだ、中条君は古典係だ。 しかも昨日ノートを提出したんだっけ。 「その提出したノートからこれが落ちてたんだよね」 「そう、だったんだ」 「うん、でもね」 中条君がそこまで言ったところでおはよう! と元気な声が聞こえてきた。 私が中条君に何か言う前に彼は私に見せた婚姻届を 四つに折りたたみ、再びポケットにしまう。 そして私に近づくと耳元でこう囁いた。 「ごめんね、僕はすぐに君に返そうと思っていないんだ」