仕方ない、もう一度教科書一冊一冊確認しよう。


教室に戻って席に着いた。


鞄から教科書とノートを出していると後ろに誰かの気配を感じた。



振り返ったその先にいたのは、一人の男の子。



「お、おはよう、中条君」


中条陽君。眼鏡をかけた男の子。
入学式の日に生徒代表で挨拶をした人だ。



「おはよう」


中条君はにこっと笑って自分の席に着いた。


あまり話したことないんだけど。よく気がきく男の子で、
ほかの男の子たちからの人気もあるし、
クラスの女の子たちも何人か
中条君をいいなと言っているのを聞いたことがある。