言っている意味がよく分からない。本当に蓮見さんがそんなことを言ったの?
「蓮見君はこう続けたよ。
娘さんを悲しませたり、辛い目にあわせる事もこれからあるかもしれない。
どんな時でも、初めてデートしたことを思い出してくれるようにって、
そう言ってたんだ。彼は本当に誠実に千草を考えているんだなって
そう思った。だからアドレスも教えたし、デートも許したんだ」
そんな話、今さら聞いたって
私の気持ちは変わらないのに。
だけど
「お父さんごめん、ちょっと出てくる」
「蓮見君なら門のところで君を待っているよ」
「え?」
「千草に何か悪いことをしたかもしれないって」
お父さんに感謝の気持ちを伝えて部屋を出た。
急いで階段を下りて、玄関のドアを開ける。
この家の無駄に広い事を苦労に思うのは初めてだ。
もっと普通の家でよかったのに。
蓮見さんのところに着くころには息が切れそうになってて、
横腹も痛いし、多分髪もぼさぼさだ。
だけど、ちゃんと伝えないと。


