「お父さん、結婚無理かもしれない」
「そうか、それなら仕方ないな」
お父さんがぽんぽんっと私の頭をなでてくれる。
温かい手に再び涙が出る。
あんなやつにちょっとでもどきっとした私がばかだった。
夫婦になるとか言うんじゃなかった。
「千草。実はね、君をどこかに連れて行きたいと言ったのは蓮見君なんだ」
「え?」
「私は何度も確認したんだよ。千草はまだ高校生で若いことも、
もし嫌だったら断ってくれてもいいこともね。
そしてデートをしたことがないことも。
だけど彼の答えはそうじゃなかった。
断る以前になら普通のデートに連れて行った方がいいですね、
とそう言ったんだ」


