それなのに。
どうして涙しか出てこないの?
どれくらいそうしていたんだろう?
さすがに床に体育座りも疲れてきて
ベッドに移動しようと立ち上がったその時、
こんこんっとドアのノックの音が聞こえた。
「千草、どうしたんだ?」
ごめんなさい、お父さん。
私結婚無理かもしれないよ。
お父さんへの申し訳ない気持ちが溢れてきて
開けるつもりのなかったドアを開けた。
「千草、泣いているのか?」
「お父さん、私」
「デート、楽しくなかったのか?」
楽しくなかったわけじゃない。
むしろドキドキした場面だって多かった。
なのに。


