「何でも、ないです。ちょっと今日は疲れたので帰ります」
「はぁ?意味分かんねえ!これから指輪選ぶって言ってるだろうが」
さっきまで楽しかった気持ちが一気にしぼんでいく。
この人は何も分かっていないんだ。
「とにかく。今日は帰ります、また連絡しますから」
蓮見さんの手が緩んだすきに、私は走って店を出た。
どうして私、こんな気持ちになるんだろう
家に着くと、篠塚さんが何か言う前にすぐに部屋に閉じこもった。
「お嬢様?お帰りなんですか?蓮見さんとはうまくいきましたか?」
うまくなんて、いくわけないじゃない
元彼女も使ったかもしれない店に、
私を連れて行って婚約指輪を選べとか。
第一、私はあんな高価なお店じゃなくてもいいし。
特別にあの指輪がほしいわけではない。


