次の日も、その次の日も。


陸人さんが帰ってくることはなかった。


電話があったのはただ一度きり。しかも不在着信。
あわててかけなおしたけれど、陸人さんは出なかった。


どんなに会いたい、って思っても私と陸人さんはそう簡単には会えない。


夫婦でも。それも紙切れ一枚の夫婦。



私と陸人さんには、何もないんだということを嫌でも
思い知らされる。





「落ち込んでる?」



お昼休み、委員会の用事で教室を出てしまった昌ちゃんの後ろ姿を見ながら
一人でお弁当を広げるわたしに話しかけてきたのは意外にも中条君だった。



この人は一体どういうつもりで私に話しかけてるんだろう



「全部知ってるくせに。わざとらしい事を訊かないで」


「ちゃんと睨めるんだ。しかも結構怖いんだね」