「それじゃあ各班に分かれてバスに乗ってください~」

「一緒に乗ろうぜ、昌」

「はぁ?何考えてってちょっと!!」


先生の合図とともに昌ちゃんの腕を引っ張ってバスに乗り込む。
宝生君ってばなんて大胆なんだろう?
昌ちゃんいわく、学校行事やイベントで恋に発展したりするらしく、
ここがチャンスと思っているという人も少なくないとか。

宝生君もそういう意味で昌ちゃんの手をとったんだと思うけど。
よりにもよって私のバスの隣が..中条君なんて。

「それじゃあ雪村さん、バスに乗ろうか」

「あ、うん」




相変わらずの笑顔。一ミリも崩すことはない。
私は先に行く中条君の後に続く。


バスに乗ると真ん中の席を宝生君と昌ちゃんが座っていて、
私と中条君はその後ろに座った。


昌ちゃんはこっちを見て何度も手を合わせる。
そんなに大げさに謝らなくてもいいのに。



全員が乗車したのを確認するとバスがゆっくり動いた。