コウくんが立ち上がってゆっくりと近づいてきた。
「どうした?」
肩を優しく掴んで、諭すように優しく話してくれるコウくん。
「お願い・・・」
「ん?」
「抱いてほしい・・・」
一瞬、コウくんの両手に力が入ったのが分かる。
動揺、してるよね・・?
「何かあったのか、紗絵?」
「私とじゃえっちしたくない・・・?」
「いや、そうじゃなくて」
そうじゃなくて、何?
「こんなに泣いてる紗絵を抱けっていうのか?」
「だって・・コウくん私に手、出そうとしないから・・」
溢れて止まらない涙を、コウくんが袖で拭ってくれる。
「・・・これ言ったら変態みたいだから言いたくなかったけど。付き合いはじめた頃から紗絵のこと抱きたいって思ってたよ、俺は。けど、紗絵の心の準備が自然と出来てからでいいって思ってたし。紗絵との初めてを大事にしたいって思ってんだ。今、泣いてる紗絵を抱いたら俺は後悔する」
近くにあった、コウくんのTシャツを頭からかぶせてくれた。
代わりに私が巻いていたタオルをとって頭を拭いてくれる。
「てか、俺何回も紗絵のこと押し倒して襲いそうになってっけど・・・」
「え?」
「この前、キッチンで押し倒したこともあんだろ?」
そういえば・・・。
そんなこともあったような・・。
「今だって、めっちゃ耐えてんだけど?そんな恰好で男を煽らないでくださいよ、紗絵さん?」
むにぃっと私の頬をひっぱるコウくん。
私・・・一人で思いつめて悩んで、バカみたい。
ちゃんと、コウくんは示してくれてたのに。
昨日のことがあってから、気持ちが不安定になっちゃってる・・・。
「泣くほど俺に抱いてほしいって・・・。可愛すぎっから本当」
ぐっとコウくんに引き寄せられて抱きしめられる。
あったっかい・・・。
「・・・やっぱ、ちゃんと服着て」
バッ!!
抱きしめられたと思ったらすぐに引き離された。
「コウくん?」
「胸、あたってっから・・・」
コウくんはまた私から顔をそむけてしまった。
横顔をみれば、耳が真っ赤になっていて。
なんだか急に私も恥ずかしくなってきた・・・。
「き、着てくる!!髪も乾かしてくる・・・!!」
「お、おう」
一体・・・何を悩んでたのかな、私。
最初からコウくんにぶつければよかったんだよね。
ごめんね、コウくん。


