君の全てを誰よりも愛そう





仕事に戻ってせっせと皿洗い。


そいや、紗絵って身長の割に細い気がするな。


いっつも飯食ってんのか?




「コウ!斎藤さんがお前のことご指名だぞ~」

「すぐ行きます」




裏で皿洗いをしてたら仁さんに呼ばれてフロアに出た。


斎藤さんか・・仕事の話かな。




「ふふふ、コウちゃん久方ぶりね?」



窓側の一番端の席、斎藤さんのいつもの指定席だ。


斎藤さんはこの店の常連さんでたまに俺に仕事を持ってきてくれる。


年齢は俺と一回り離れてて、色っぽいお姉さんって感じ。



「久方ぶりって一昨日もきてましたよね?今日は仕事の話ですか?」

「あら、冷たいのね。あたしは一日会わないだけで寂しいのに」

「こんなキレイな人にそんなこと言ってもらえるなんて光栄ですね」



こんなふうに言ってるけど、斎藤さん実は結婚してて旦那さんとラブラブ。


この会話は挨拶代りみたいなもので、毎度毎度お決まりのこと。




「今日はこれの翻訳してほしくてね?もってきたの」



目の前に差し出されたファイルを受け取って中身を確認。



「あ、この前いってた海外の取引先との書類ですね?了解です。いつまでに?」

「悪いんだけど、明日の夜・・なんて無理かしら?」



舌をぺろっとだして上目づかいの斎藤さん。



「この量を、明日の夜ですか・・・」

「報酬はずむから!お願いっ!!」



斎藤さんはアパレル会社を経営している女社長。


海外にも取引先があってそれように翻訳するのが俺の三つめのアルバイト。


実は小学から中学までニューヨークに住んでた俺は結構英語が得意だったりして。


仁さんにそのことを聞いた斎藤さんが、金を貯めてる俺に翻訳の仕事をくれるようになった。



「分かりました。やってみます」



この仕事のおかげでかなり学生らしからぬ収入を得ているわけだし、断るわけにもいかないよな。



「ありがとう!!明日、あたしが直接受け取りにくるから!」



そういって斎藤さんは慌ただしそうに店を出てった。


ん~今夜は徹夜だな。


頑張るか・・!