近藤と視聴覚室まで戻れば、さっきとは違い叫び声は聞こえない。
大人しくなったようだな。
「・・・反省、したか?」
ドアを開けて中に入れば身を寄せ合っている二人。
めちゃくちゃ泣いたらしいな、目元がパンダのようになってる。
「紗絵は一人で手足も縛られて、口も塞がれて・・・あの収納ボックスに入れられてたんだぞ?
こんな短い間じゃなくて、もっと長い間だ。
今、紗絵がどうなってるか知ってるか?重度の熱中症で入院中だ。
お前らのしたことは・・・立派な犯罪だよな、違うか?」
俺の言葉に何も反応しない。
見ているところも定まってないようで、かなり堪えたようだ。
「浅井、鈴村・・・何か言うことあるだろ」
近藤が二人に近づき、促す。
「ごめんなさい・・・」
「すいませんでした・・」
心の底から思ってるのかどうなのかは分からないけど、これ以上この二人に何かする気もない。
この言葉が、嘘偽りないといいな・・。
「好きな奴に振り向いてもらえないってのは辛いかもしんない。
その気持ちが全く分からないわけじゃないよ。
けどな?
好きな人の大切なモノを傷つけるってのは、好きな人を傷つけるのと一緒だと思わないか?」
また涙を流し始めた二人に、歩み寄って頭に手を置く。
「今回したことは絶対に許されることじゃないし、俺は許さないよ。
けど、お前らはまだ若いんだ。いくらだって変わっていける。
それに・・元はカワイイんだから正攻法で勝負してみたらどーだ?な?」
頭をガシガシすれば二人は無言で何度もうなずいた。
ハッキリいって、今回は完全にやりすぎだ。
だけど・・それだけ自分にとって大きなコトだったんだろう。
紗絵にしたことを、俺は一生許さないけど・・・。
一人の大人として、これからは真っ当に生きていって欲しいと思う。