あれから数時間、紗絵を抱きしめて眠った。
また、普通の1日が始まるはず。
だけどやっぱり紗絵の元気がない。
「おはよう、コウくん。パンでも良い?」
「ん、いいよ。ありがと」
なんだか普通に振る舞おうとしてる感じがやけに不自然に感じるんだ。
「紗絵、なんかあったのか?」
「えっ?・・・なんで?何もないよ」
あぁ、やっぱりなんかあったんだな?
久しぶりに見た。
紗絵の暗い笑顔。
「学校で辛いこととかあるわけじゃないんだな?」
「・・・うん。何もないよ、本当に。辛いことなんて、何も」
目を細めて笑う紗絵。
それ以上は聞かないでほしそうな感じだから無理に聞こうとは思わない。
一人でなんでも抱え込もうとするのは紗絵の癖みたいなもので。
本当に限界を突破していても、紗絵はなかなか頼ろうとはしてくれない。
「そうか。なんかあったらちゃんと言うんだぞー」
なんて、軽く流してはみるものの・・・内心気になって仕方がない。
今までだって抱え込んで辛い思いをしてきた紗絵。
それは家庭環境のせいもあるんだろうけど。
出来ればもう、なんでも一人で抱え込む癖は直してやりたい。
今までだって十分かんばってきたんだから、これ以上頑張る必要ないだろ?


