君の全てを誰よりも愛そう




「あたし・・高木と別れてからずっと高木のこと引きずってた。あの日再会して、まだ好きだって分かっちゃったの。だから、もう一度高木とやり直したいの・・・お願い、あたしともう一度付き合って・・・」



恵さんが俺を見つめているのが分かって、俺も恵さんの方へと視線を向けた。


うっすら涙を浮かべて真っ赤になっている恵さん。


こんな恵さんを、俺は初めてみた。


もしかしたら・・・付き合っていたときもこんな感じだったのかもしれない。


俺に告白してくれたときも、こんな感じだったのかもしれない。


俺が気づいてなかっただけで。


恵さんにとって俺は単なる場つなぎの遊びなんじゃないかくらいに思っていた・・・。


だけど、本当は違っていたのかもしれない。


だったら・・・今度こそちゃんと返事をしなければいけない。


真摯に向き合わなければいけないよな。



「恵さん、すいません。俺には付き合ってる子がいます。なのでやり直すことは出来ません」

「・・・この前の制服の女の子?」

「そうです。彼女がいるからやり直せないんじゃなくて・・・俺が彼女しか無理なんです」



恵さんがダメなんじゃないんだ・・・。


紗絵じゃないとダメなんだよ、俺。



「高木が勉強以外に執着みせるの初めてね・・」

「そうかもしれませんね。俺には、紗絵しかみえません。すいません」



精一杯の誠意を伝えたくて、恵さんに頭を下げる。


恵さんからの返事はなくて、数分間ずっと頭を下げ続けていた。



「あたしも、自分の気持ちを偽るのやめたの・・・。だから、諦め悪いかもしれないけどまだ諦めないわ」

「恵さん・・・」

「それじゃ、行くわね」



恵さんの言葉が終わるのと同時にタクシーが来て恵さんは去って行った。


去り際に見えた恵さんの涙に少し胸が苦しくなった。