君の全てを誰よりも愛そう




「あたしね、ずっと後悔してたの」


何をですか?なんて聞く気にもなれなくて、無言で話を促す。


「・・・あたし達の付き合いって本当にあっさりしたもんだったわよね。好きとか言い合うこともなかったし、手をつないでデートしたこともなかったわ」

「それは恵さんがバカップルみたいでイヤだって言ったからですよ」



そもそも俺と恵さんの出逢いは塾講師と生徒という関係だった。


高校受験のためにニューヨークから日本へと帰ってきた俺は、遅れをとっていた日本史や古文を学ぶために個人指導の塾へ入塾。


そこで俺の担当講師になったのが、当時大学一年生だった恵さんだ。


告白は恵さんからで、そのときは憧れのお姉さんというイメージだった恵さんに告白された俺は恋と憧れの差が解らぬまま了承した。


でも恵さんという恋人の存在が俺にとって勉強する時間を割くほど大切になることはなかった。


デートの回数もキスの回数も数え切れるほどしかしなかった結果、恵さんから高校進学後に別れを告げられた。


後になって思えば、俺にとって恵さんへの感情は恋じゃなかったんだ。


高嶺の花で憧れの存在。


見つめているだけで満足で、触れあいたいと思ったことはなかったから。



「本当は・・好きって言いたかったし、言われたかった。手をつないで、デートしたり・・したかったの。だけど、あたしの方が年上でそんなこと言うの恥ずかしくて・・・高木もそんなに積極的ではなかったし」


「あの時の俺は・・ガキでしたね。そんな恵さんの気持ち全然わかってあげられてなかった。・・すいません」



初めてな気がする。


恵さんの本音を聞いたのは。