それから聞いた、紗絵の過去。
「私って望まれて生まれてきたわけじゃないみたいで・・」
紗絵の両親は大学時代の先輩後輩だったらしく、一夜の過ちで紗絵を授かってしまったらしい。
妊娠してることに気づいたのは4ヶ月を過ぎたころで堕胎をするための費用もなく、なあなあにしたまま6ヶ月目に突入し産むという選択肢しかなかったのだと。
妊娠しことが周囲へバレ入籍にいたり、今の家庭があるのだそう。
「小さい頃から、お母さんとかお父さんとかと外に出かけたことなかったの。笑いかけてもらったことも、なかったの。他の家の子をみたら羨ましいなって思う気持ちはあったんだけどね?たまにおばさんが従弟つれてきてくれてその時だけは笑いかけてくれた。普通の家族みたいにしてくれた」
たしか、仁さんが言ってたな。
保護者面談には歳の離れた従弟が来るって。
唯一その従弟とは良い関係を築けてたのか?それだったら、少しだけど心の拠り所があったのか・・。
「だからかな、少しでも私のこと好きでいてくれてるのかもって思っちゃったの。バカだよね、偽物の笑顔向けられてたのに・・その笑顔に舞い上がっちゃって」
紗絵から零れる言葉たち一つ一つが弱弱しい。
ああ、もっと早く・・紗絵に出会っていたかった。
何が出来たのかなんて分からないけど、何かしてやれたのかもしれないのに。
「小学生の頃からね、家にいたいなら家事をしろっていわれてて。変かもしれないけど、そうすれば居場所があるんだなって思ったら家事が苦にはならなかったの。だけど・・失敗するとお父さんは怒って平手打ちしたりとかするようになって・・」
紗絵が表情を隠すように膝に顔を埋める。
声が・・震えてる。


