学校生活を振り返れば、佐伯の姿はかならずあるけれど。
未来を思い描けばそこにいる人は佐伯ではなくて。
ああ、そうだな。
市川さんの柔らかい笑顔を思い浮かべてんな!俺!
そう思ったら戸惑いの気持ちもどこかへ行ってしまった。
「俺さ、ちゃんとけじめつけて佐伯に話をして・・・そっから市川さんに素直な気持ちを伝える!」
「おう。いいんじゃねーの、それで」
「だからダブルデートはまた今度な!」
「へいへい。んじゃ俺は帰るわ」
野瀬はそういって気怠そうに教室を出ていった。
野瀬のやつ・・・俺にかまかけたな、わざと。
騙されたような気もしないではないけど、俺に本当の気持ちを気付かせてくれた野瀬に感謝だ。
卒業式の日、俺はちゃんと向き合うんだ。
今までの俺に。
そんで、これからの俺にも。
「あれ、近藤くんまだいたの?」
そんな気持ちで窓から空を眺めていると、後ろから声がかかった。
「おう!今から帰るとこだ。市川さんは?」
「私はちょっと忘れ物しちゃって・・・」
えへへと笑う市川さん。
「そっか。一緒に帰らない?」
「え!?い、いいいいんですか?」
「うん。行こーぜ!」
横に並んで歩き出す。
対して会話があるわけじゃないのに気まずくなくて・・・心地よい。
うん、やっぱりそうなんだな。
俺がこの先並んで歩いていきたいのは・・・
市川さんだ。


