君の全てを誰よりも愛そう



「なぁ、近藤」

「なに?」



放課後の教室。


部活も引退して暇な俺は野瀬としょっちゅう放課後を共にしちゃうラブラブ具合。



「明日ダブルデートしねぇ?」

「は!?嫌味か野瀬ちん」



野瀬は数年間の片思いの末失恋して、二年生の時に彼女が出来た。


野瀬いわく乗り越えられない失恋なんてないらしい。


どんなに辛い失恋を経験したとしても、相手の幸せを思える奴はもう前に進んでんだからって。


たまにいいこと言うんだよな、野瀬のやつ。



「いーじゃん、誘ってみろよ」

「は!?俺彼女いねーし」

「気になるヤツ誘えばいいだろ?」

「んな急に誘ったって市川さんきてくんねーよ!」



俺の言葉にニヤリとこっちを見る野瀬。



「お前、やっぱもう過去に出来てんだな。佐伯のこと」

「過去って・・・佐伯は今も同じクラスじゃねーか!」

「アホ。ちゃんと佐伯以外のこと好きになれたなって言ってんだよ」



そう言われてハッとした。


気になるヤツを誘えばいいって言われたのに・・・。


俺はすぐに市川さんのことを思い浮かべてた。


それは無意識で。


今までだったらきっと・・・佐伯のことを思い浮かべてたよな。



「俺・・・」

「ま、戸惑う気持ちも分かんなくねーよ。この先他の誰かを好きになることなんてないだろうとか思っちゃってた気持ちも」



う。


野瀬に的確に気持ちを言い当てられちゃってんじゃん・・・。


けど、本当に自分でもびっくりで。


きっとこの先佐伯以外の人を好きになることはないだろうと勝手に思ってた。


同じクラスでそばにいるから尚更。


それなのに・・・。


いつの間にか佐伯を好きだったことは過去になっていたんだな。


特別だという思いは変わらないけど。


いつか訪れる別れを見据えている俺がいる。