怒られるのを覚悟でそう兄さんに告げて、またぺこぺこと頭を下げ続けた。
「ん、そのつもりで話したんだ。・・・俺がいうのもなんだけど、お前は良い男だと思う・・。学校での紗絵のこと、よろしく頼む」
「ず、ズルイっすね・・・その発言は・・・。なんか、攻めづらいじゃないですか」
「そうやすやすと、紗絵に手出されてたまるかっての!!ははっ!でも今日から・・ライバルだ」
兄さんはそう言って俺に手を差し出してきた。
「ハイ!!」
俺よりも大きい手を強く握って心底思った。
ああ、俺はこの人に適うことはないだろうな。
こんなに大きな事件があったっていうのに、誰を責めることもなく・・・。
ただただ佐伯が快適に過ごしていけるようにしているんだ。
それから反省させていた浅井と鈴村を解放して兄さんが二人に放った言葉。
「今回したことは絶対に許されることじゃないし、俺は許さないよ。
けど、お前らはまだ若いんだ。いくらだって変わっていける。
それに・・元はカワイイんだから正攻法で勝負してみたらどーだ?な?」
浅井と鈴村の頭を少し乱暴に撫でた兄さんは笑顔だった。
俺には絶対マネできない・・・。
自分の彼女を苦しめた奴にこんなに優しい言葉を放つことは出来ない。
それに、カワイイとかって言っちゃってるし。
兄さんの彼女は佐伯だろ?
俺だったら彼女にしかそんなこと言えないし、言わないのに!
だから少し俺は兄さんの言葉にイラッとしてしまう部分もあった。
そんな気持ちを素直に伝えれば
「ああ、あれな。最後まで毒づいてまた紗絵に何かされたらたまったもんじゃないから言っただけだ。ぶっちゃけ、紗絵を苦しめた奴らなんか可愛くもなんともないね。ってか、俺にとっては紗絵だけが可愛いし」
俺がどれだけガキだったのか実感させらることになって。
ああ、本当に俺はこの人には敵わねーんだなって思い知らされた。
だけど、それと同時に兄さんのことがめちゃくちゃ好きになった。
人として、男として。
いつか兄さんみたいな男になれたらいいなって思わずにはいられない。


