「タクシーで病院つれてく。今日は助かった、ありがとな・・」
「俺は何も出来なかった・・・。あ、ちょっとだけ待っててください」
本当に何も出来なかった。
だからせめて、今佐伯に出来ることをしないと。
男として、人として、俺は情けないままだ!
教室へとダッシュして、自分の荷物を漁る。
多分だけど、俺が思うに佐伯は熱中症みたいな感じだった。
水分補給と体を冷ましてあげないと・・・。
とりあえず予防のためにいつも持参してるスポドリとタオルを手に持って、俺はまた旧校舎へとダッシュ。
「これ、俺が部活用で持ってきてたスポーツドリンクとでっかいバスタオルです。あと・・フェイスタオル濡らしてきたんで・・・」
「助かるよ、ありがとう」
何も出来なかった俺にありがとうと言ってくれた兄さん。
だけどやっぱり、思わずにはいられない。
「俺がもっと早く気づけてれば佐伯は・・」
意識を失ってしまうほどにならなかったかもしれない。
早く気づいて対処をしていれば、こんなに辛い思いをさせないですんだのに。
悔みきれない思いに押しつぶされてしまいそうだ。
「いや、近藤のせいじゃないよ。かなり助かった。俺だけじゃこんな早くみつけてやれなかったよ」
そうニコリと笑った兄さんは一ミリを俺を責めることはしなかった。
責めてくれてもよかったのに。
どうしていないことに気づいていたくせに探さなかったんだって、怒ってくれて良かったのに。
兄さんはただただお礼を俺に言って、やってきたタクシーにのって去って行った。
見送って決心した。
俺には、やらなきゃいけないことがある。
助けてやれなかった佐伯のために。
お礼を言ってくれた兄さんのために。
出来ることがあるだろ、俺!!


