君の全てを誰よりも愛そう



そしてついた視聴覚室。


真っ暗で、閉め切っていたせいか空気がモヤっとしているのが分かった。


こんなところに・・・佐伯を?



「佐伯・・いないのか?」



反応は何もなし。


まさか本当は違う場所に!?


そう思ったけれど。



「紗絵!いるのか?」



兄さんがそう声を発した瞬間、



ガタッ



部屋のどこかから聞こえてきた物音。



「紗絵なのか!?」



ガタガタッ



まるで兄さんの声に返事をするようになり響いた物音。


兄さんは慎重に音を探りあてて部屋の隅へと歩みを進めた。


そこにあったのは収納ボックス。


人が入るかと問われれば可もなく不可もなく。


そんな大きさのボックスだった。




「紗絵!!大丈夫か!?」




そのボックスを開ければ・・・やっぱり佐伯がそこにいた。


衝撃的すぎる出来事に、もはや頭が付いていかない。


なんで?


なんで佐伯がこんな目にあってるんだ?


手足を拘束されて口にはタオルを咥えさせられた佐伯の姿。


犯罪、だろ?こんなの・・・。




「コウくん・・!!」


「ごめんな・・助けるの遅くなって・・・・」



拘束を全て解かれた佐伯は兄さんに抱き着いて、兄さんも佐伯を抱きしめて。


俺は、何もすることが出来なかった。


佐伯のことを好きなくせに。


事件を未然に防ぐことも、助けることも出来なくて。


なんて情けないんだ、俺は。




「さ、佐伯どうしたんだよ!」




ぼーっと二人の佐伯と兄さんの姿を見守っていたら、佐伯の兄さんに抱き着いていた腕がダランと落ちた。



「・・・意識が薄いな。救急車呼ぶか・・。近藤、先生に伝えてきてくれ」



その言葉に直ぐに救急車を呼んでもらうために動こうとすると、佐伯はそれを拒んだ。


親を呼ばれるのが嫌だからって。


こんなときに何を言ってんだよ!そう思ったけど



「分かった。・・俺が病院に連れてくから、安心しろ」

「あ、りがと・・」



兄さんはそれを受け入れた。


俺には到底理解できないけど、佐伯がそれを望んでいるのならそれが兄さんにとっては最優先なんだろうなぁ。