何も言わない二人に、イライラと焦りと怒りの感情が増していく一方。
今まで生きてきてここまで自分の気持ちが真っ黒になったのは初めてだった。
もういいから殴ってでも何をしてでも佐伯の居場所を吐かせてしまいたいと思ってしまう。
こんなにもドス黒い感情が自分の中で芽生えてしまうほどに、俺は佐伯のことが好きなんだ。
もう、知らない。
言わないこの二人がわりーんだ。
プツリと自分の中の何かがはじけ飛んでしまったかのように、そう結論付けてしまった俺。
激しく揺さぶるのをやめて拳を握りなおした。
「近藤、まて」
そんな俺の様子を察したのか、兄さんが俺の肩に手をおきグイッと後ろに引っ張った。
兄さんだって怒ってるよな!?
なんで止めるんだよ!!
「気持ちは俺も一緒だけど、紗絵が最優先だ。・・・で、紗絵はどこにいるのかな?この期に及んで知らないなんて言わないよな?」
落ち着いた兄さんの対応をみてカッ頭に血の昇っていた自分が恥ずかしくなった。
そうだった。
今やるべきことは先の救助だ。
一刻も早く、見つけることだった・・・。
俺のしたことは、俺のエゴ。
「し、視聴覚室です・・・」
「そう。・・・近藤、案内して」
兄さんはいとも簡単に二人から佐伯の居場所聞き出した。
大人な対応・・・。
俺の想いと、兄さんの想い。
どちらが佐伯を大切に思っての行動なのか・・・一目瞭然。
すいません、兄さん。
「浅井、鈴村・・お前らそこ動くんじゃねぇぞ」
自分の声がここまで低くなるものなのかと驚きつつ、二人にそう告げた。


