私なんかで本当にいいの?って紗絵は何回も俺に確認してきた。


馬鹿だな紗絵は。


同情なんかじゃないんだよ、本当に。


紗絵が本当は強い子だってことを俺は知ってる。


ずっと一人で頑張ってきたことを俺は知ってるから。


そんな強い紗絵に惹かれたんだ。


辛い環境をどうにか生き抜いていこうって頑張ってる紗絵に惹かれたんだ。



「これから先、色んなことがあると思う。だけど一緒に乗り越えて行ってくれるか?俺と」




二人で車に乗り込んでやってきた川で紗絵と向かい合う。


なんとなく、大きな出来事があったときは川に行きたくなる。


紗絵と二人でくるここは、すごく特別なんだ。


大きな岩に腰かけて、後ろから紗絵を抱きしめた。


そっと手を取ると、紗絵の左手の薬指の指輪がやけにくすぐったくて嬉しくて・・・。


出逢った頃の紗絵も。


色んなことと向き合った高校の時の紗絵も。


今、俺の腕の中にいる紗絵も。


俺は愛しくてたまらない。


これから先、おじいちゃんおばあちゃんになったとしても。


俺は


君の全てを誰よりも愛そう。




「紗絵、これからもよろしくな。・・・愛してるよ」

「私も・・愛してます、コウくん」





そっと触れ合った唇が、今までよりも一層愛しかった。






2015/10/5 完



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