時が一瞬止まったかと思うくらいに、周りはシンとしていて
うるさいくらいに自分の鼓動が耳に響く。
返事を待つ間、こんなに緊張するなんてな。
「うっ・・・ひっくっうぅ~」
「紗絵!?」
聞こえてきた声に紗絵の顔を見れば紗絵は花束をつぶれるくらいに抱きしめて涙を流していた。
え!?
泣いてる!?
俺からのプロポーズそんなにイヤだったのか・・・?
「紗絵、イヤだったら・・・」
「イヤじゃない!!・・・嬉しいの。だけど、いいの?コウくんはこんな私でいいの?」
そんなの決まってるだろ。
「紗絵がいいんだよ、俺は」
「私、迷惑ばっかりかけてきたのに・・・。たくさんコウくんの負担になっちゃってるのに・・・こんな私をお嫁さんにしてくれるの?」
馬鹿だな、紗絵は。
迷惑でも負担でもなかった。
紗絵がそばにいてくれることが、俺にとっての幸せだったんだから。
「なぁ、紗絵。俺はどんな紗絵だって大好きだよ。たとえ迷惑でも負担でもいい、紗絵が俺を頼ってくれてるんだって思えば俺には嬉しいことだから。何より・・・俺には紗絵が必要だよ」
ボロボロと泣きじゃくる紗絵。
俺は立ち上がって、紗絵の涙を指ですくう。
こんな泣き顔ですら、愛しいんだ。
「・・・苦しいようっ・・・嬉しすぎて、苦しい・・・。ずっと・・・誰かに必要とされたかったのっ!愛してほしかったの・・・。だけど、誰かにじゃなくて・・コウくんがいいっ!この先ずっと、コウくんと一緒がいいよぅ。うわぁ~んっ!!」
まるで子供みたいに泣いた紗絵は俺の胸に飛び込んできた。
愛しい。
本当に愛しいんだ、紗絵が。