「仁さん、ちょっとの間紗絵のことよろしくお願いします」
「おうよ」
紗絵をカフェに残し、一人外に出た。
今から実家に車とりに行くんだ。
今日のために用意した婚約指輪と花束も。
「あれ?電気ついてるな」
実家につくと珍しく灯りがついてる。
つまり、両親が帰ってきてるってことだ。
俺が日本に帰ってきてからも両親は世界中を飛び回っているからこの家に明りが灯ることはごくわずか。
たまに俺が掃除しに帰って来る程度だから。
空き巣に入られるのもイヤだし?ま、とるものもないくらいに物は少ないけど。
すぐにでも紗絵のとこに戻ろうと思っていたけど、たまには親の顔くらいみとくか。
「母さん、親父、帰ってんのか?」
とりあえずリビングへと足を運んだ。
ふとコーヒーの香りが鼻を掠めた。やっぱり帰ってきてるみてぇだな。
「あら!コウじゃな~い!お帰り!」
リビングのソファに腰掛けていた母さんは立ち上がって両腕を広げて近づいてくる。
海外暮らしが長いせいかいまだにハグしてくんだ・・・。
「息子よ~!ダディにもハグは!?」
「自分のことダディって言うなよ、親父」
親父、前にあったときよりもアメリカンになってやがんな。
「俺、結婚すっから」
「紗絵ちゃんね?マミィは賛成よ~」
「ダディも賛成~!」
俺の両親、軽すぎねぇ?
「結構長い付き合いだものね?直接会ったことはないけど、コウが選んだ子だもの。反対なんてしないわよ~」
「親は基本的に子供を信じてるもんだからな!って、ずっとほっといて今更親面すんなっておもってるかい?息子よ」
確かに、親と過ごしてきた時間はめっちゃ少なかったけど・・・ちゃんと親だと思ってる。
紗絵の両親と違って、愛が伝わってくるから。
「紗絵は親の愛情を知らないで育ってきたんだ。距離は近いのに愛されてないって辛いよな・・・。けど、俺はそばにいれなかった分も愛されてたんだなって思うから。ちゃんと親だと思ってるよ、母さんと親父のこと」
正しい愛し方なんて分からないけどあったかい愛情は分かる。
この人たちに教えてもらったから。
紗絵にも伝えていきたいんだ、このあったかい愛を。
家族って存在を。


