「卒業生入場」
その言葉と同時に拍手が巻き起こり、卒業生たちが体育館へと姿を現した。
もう泣きそうな子、隣の子とニコニコ話をしている子、緊張している子。
色んな姿がわかる。
紗絵は・・・穏やかな表情で入場してきた。
隣には、近藤がいる。
高校の三年間、近藤は紗絵の良き理解者となってくれていた。
紗絵を閉じ込めた奴らと和解出来たのも近藤のおかげ。
友達にはなれなかったが、わだかまりは解消できたようだ。
紗絵と出会って五年間。
色んなことがあったな、と思う。
俺といたことで紗絵の暗闇は和らいだだろうか。
中学生のときの紗絵よりも、高校生になってからの方が紗絵は笑うようになった。
本当の笑顔を、向けてくれている。
そう思える。
俺と出会って良かったと・・・いつかそう思ってもらえるだろうか。
「紗絵・・・やっぱこの中で一番可愛い」
俺は紗絵と出会えたこと、本当によかったと心のそこから思ってるぞ。
誰かのそばにいたいと思ったのも、愛しいと思ったのも・・・紗絵が初めて。
紗絵と出会ったから、紗絵といる今を大切だと感じることが出来た。
ないがしろにしてきた時間が、紗絵といることで他にも代えがたいものになったんだ。


