君の全てを誰よりも愛そう



「コウくん、ネクタイやってくれる?」



入学したては上手に結べなかったネクタイも今ではお手の物なはずなのに。


俺にネクタイしてと甘える紗絵が可愛くて



「おう」



まんまと結んじゃう俺。


入学式の時の幼い雰囲気はもうなくてどんどん大人の女になっていく。


そんな成長が嬉しいけど寂しいような、そんな気持ちだ。


後ろから紗絵を抱きしめて、首筋に唇を寄せる。



「コウくん・・・」

「朝からそんな声して誘うなっての」



色気まで増し増しだな。



「さ、行くか」

「うん・・・!」



最後の登校を紗絵として、体育館の保護者席に座った。


周りは我が子の晴れ舞台を見守ろうとしている親の姿ばかりだ。


紗絵の両親は、やっぱりいない。


紗絵と過ごしてきた五年間、両親とのわだかまりはそのままだ。


俺が何回か紗絵の両親に話をつけに行こうかとも思ったけど、紗絵がそれを拒んだ。


俺には見せたくないんだ、と言った。


自分が育ってきた環境を見せたくないって。


無理強いしてまで俺が紗絵の両親に会いに行くことで紗絵が傷つくのなら意味がない。


そのためにずっと直接会えたことはなかった。


だから、今日は・・・俺が紗絵の門出を祝ってやる。


見守ってやる。


これからだって、ずっと俺が紗絵を見つめていくんだ。