それからあっという間にお昼になった。




日高君がいてくれるから、心強いな。




今日は何を言われるんだろ。




私はまずひとりで屋上に行く。




日高君はいっときしてから来るらしい。




因みにドアの向こう側にいる。




屋上に着くとすでに梓ちゃんはいた。




サラサラなロングヘアが風で綺麗に靡いていた。





「よく来てくれたね。花木さん」




「あなたが呼び出したんでしょ」




「そうね」




「呼び出してなんのようですか?」




「花木さんさ、まだ諦めないの?」





肥山君のことですよね。





「諦めません。なんと言われても私は肥山君が好きですから」





「まだ分からないの?彼方はあなたなんか見てないの。相手にもしないでしょ」





「初めは本当そうだった。けど、今は違う。少しづつだけど肥山君私に話しかけてくれたりするようになったから」





私は正々堂々とそう言った。





「…バカじゃないの」




「…」




そう言って梓ちゃんはニヤっと笑った。




「あんたなんか彼方から嫌われたらいいのよ!」




そう言ってそう言って私を叩こうとした梓ちゃんだったけど




「バカはあんただろ?」




そうやって来たのは日高君だった。




ナイスタイミング!





「だ、誰よあなた」




「そんなのどうでもいい。こっちは全部分かってんだよ。お前が男3人使って未苑を近づかせたのも」





「なっ…なんでそれを…」




「なにが目的でしたんだよ、彼方か?そんなことまでして彼方が欲しいのかよ」





「…ふっ、そうよ?全ては彼方を手に入れるのが目的。その為には彼方の事を好きだって有名な花木さんが邪魔でしょ?これでこりてくれるかと思ったんだけどなー」




「お前最低だな」




「そんなの私だけじゃないでしょ?女はみんなそうでしょ」





「それは知らねーけど、そこまでする必要ねーだろ」





「必要があるのよ。私には彼方が欲しいの。彼方は確かに誰もが認めるイケメンよ?顔もいいし。私の彼氏にしたら私の評判だって上がるしね?それに彼方には花木さんみたいな変人女よりも私みたいな人がお似合いでしょ?」




変人女…




わ、私ですか?





「似合わねーよ。てか顔じゃないし」





って、日高君が言ったあと





「…そう言う事か」




私の好きな声が聞こえた。





私を含めて3人がびっくりする。





「彼方…」




一番に口に出したのは梓ちゃんだった。





梓ちゃんは信じられないと言わんばかりに目を見開いて口元を手で押さえる。





「男3人の仕業は梓と思ったよ。昔からやり方が相変わらず卑怯だね」





「っ、私は…っ」





「もういい。そういうのマジだるいから」





そう言って肥山君は屋上を出ていった。





3人残った私達。




え、え?




こういう時どうすればいいの?





どんまいって梓ちゃんに言って退場する?




わ、わかんないよー





梓ちゃん泣いてるしー





「ま、自業自得だな」





日高君はそう言って私の腕を引っ張り屋上を出た。





午後の授業は現代文。




…梓ちゃん、大丈夫かな。





なんだか梓ちゃんがかわいそうに見えたのは気のせい?





あんな事、好きな人から言われたら誰だって辛いよ。




勿論私だって肥山君らあんなこと言われたら立ち直れないかも。





それに肥山君は授業に出てないし。





梓ちゃんは授業、ちゃんと受けてるかな。




梓ちゃんも心配だけど、




肥山君…




どう思ったんだろうな。





肥山君がもしも梓ちゃんの事が好きだったら…




あんなこと企んでたなんて知って、





絶対悲しいよ。





顔だけだって。





それに梓ちゃんは肥山君の事が好きじゃないみたいだし、話からしたら。





自分の格を上げたいだけでしょ?




はあー…





とりあえず肥山君にLINEしてみるか。





私はこそっとポケットから携帯を出し肥山君にLINEした。





肥山君、大丈夫ですか?





と。





返事来ないかな。





落ち込んでたら来ないね。




=好きだったね、梓ちゃんの事。




だからって私は好きだもん。





肥山君が好き。




なのに、心のどこかでは不安だったんだ。