クラスマッチは本日をもって終了しました!





私たちの試合は決勝戦に進んだけど





それから負けちゃった!





「未苑お疲れ様」





雅ちゃんは私に紙パックのいちご牛乳を差し出す。





「ありがとう!」





「やっぱりすごかったね、肥山君チーム」





「そうだね!優勝したもんね!それに日高君も最後の最後にブザービート決めたしね!」





「うん、あれはすごかったー」





確かにあの瞬間だけ空気が違ってた。





「今回は私の負けだから日高にご飯奢らなくちゃなー」





「そっかそっか!賭けしてたんだもんね!」





「うん。明日休みだし誘ってみるよ」





「そっか!」





「それよりも未苑は肥山君に会いに行かなくてもいいの?」





「え、うん。だって今日のお昼一緒に食べてくれたんだよ?それだけで私は…」





「だめだよ。もっとわがまま言わなきゃ。したいことしなきゃ。そんな小さいこと言ってたらいくら時間があっても足りなくなっちゃうよ?」





「うん…」





「欲張りになりなさい」





「雅ちゃん…」





「会いに行きなさいよ」





「…うん!行ってくるね!」





私は椅子から立ち上がり走って靴箱を目指した。





私はまだ、肥山君に優勝おめでとうって、直接言ってない。





言わなきゃ。





靴箱を見たけど靴は無かった。





もう帰ってるのかな…





がっくりしながら私は門を出ようとしたその時。





気の向こうから話し声が聞こえた。





「肥山君…」





ひ、肥山君!?





いるの!?





私は恐る恐る声の方に行く。





「…そうだよね。こんなにもかっこいいんだもん。いてもおかしくないよ」





と、女の子の声。





「ごめん」





「ううん、謝らなくたっていいよ。これからは友達としていてくれる?」





「いいよ」





肥山君がまさかの告白!?





って、あってもおかしくないか。





「あ…」





肥山君は女の子と別れたあとちょうど私に気づいた。





私は小さく手を振る。





「いたの?」





「うん、」





「なに?今ので俺の気持ち引いた?」





「ううん、そんなんじゃないよ」





肥山君は好き。





けど私じゃ…





「ならいいんだけどさ」





「え?」





「いや。帰りひとり?」





「うん」





「送るよ」





「えっ、いいんですかっ!」





「元気になった」





「あ…あはっ」





「なら行くよ」





「へーい!」





最近私の気持ちがおかしい。





まっすぐだった道がなんだか右にも左にも枝分かれしてるみたい。





どうしてちっぽけなことで揺れるんだろう。





「あの、ね肥山君」





私は二回目の肥山君と自転車ふたり乗り!





「どうかした?」





「私ね」





「ん?」





「肥山君が好き。大好きです…っ」





なんだか涙が出てきた。





こんなの私らしくない。





だけど涙が出るんだ。





きっと他の女の子の所に行かないでって、





心が言ってるんだ。





「なんで泣いてるの」





「ごめんね!」





私は涙を拭う。





「いや。あんたらしくないって言うか」





「だ、だよね!ごめんごめん!」





「泣けば?」





「え?」





「泣きたいなら泣けばいいよ」





「ふっ、」





「でも」





「んー??」





「泣くのは俺の前だけね」





え?





どういうこと?





肥山君はそれ以上は何も言わなかった。





私はゆっくりと肥山君の肩を借りる。





肥山君は嫌がることも





なんにも言わなかった。





ただ、受け止めてくれてたんだ。





肥山君は肥山君なりに。