それから待ちに待った放課後。




6時間目の体育は、終わると直ぐに肥山君が倉庫に来てくれた。




こんな事なら私は、体育の時毎日来ていいかも!




そう、肥山君に言ったら




『来なくていいから』




と、あっけなく言われてしまった。




「肥山君!帰ろっ!」




「うん」




あ、そうだった!




ここでひとつ、私はいったい肥山君の隣を歩いてもいいのでしょうか!




いやでも、隣は彼女とかだよね!




んー、でもー!




「あのさ」




「はい!」




「隣…来たいならくれば?」




「えっ!いいの!?」




「逆に後ろにいられたら困るんですが」





「やったぁ!肥山君が好きですっ!」




「俺はその逆なんですが」





「好きにならせてみせます!」




「勝手にしてて」




それでもいい!




絶対に諦めない!





あー、肥山君は本当にかっこいいな。




世界一だよー




もー死ぬわー




「肥山君は、彼女とかつくらないの?」




「さあね」




「えー!教えてくれたっていいじゃんかっ!」




「そういうの分かんないから」




「え?」




「俺人と付き合ったことないし」




「本当でっか!?」




肥山君が!?




この肥山君が?!




不思議だよ!




「嘘なんかつかないよ」




「なんか意外だね!」




「そうかな」




「あんなにモテモテなのに!」




「そんなんじゃないよ」




またまたー!




謙虚だなぁー




にしてもまた新たな情報を手に入れた!




そう言えば最近は、




なんだか肥山君が私にたくさん話すようになった。




初めの頃は全く話してくれなくて




笑ってくれなくて




邪魔ってオーラが漂ってて




それでも私は気づかないふりをし




肥山君に話し続けた。




毎日毎日肥山君大好きと叫んでは振られ。




なんだか最近は私に心開いてくれたみたいに




笑ってくれる。




「肥山君のその笑顔が大好きですっ!」




「意味分かんないし」




「ほんとにほんとに肥山君が好きなんです!」




「それ一体何回目」




「何回もいいます!それほど肥山君が大好きですからっ!」




「…そう」




肥山君が好き。



全部好き。




肥山君の、本当は優しいところとか




肥山君の、笑顔とか




肥山君の、横顔も




肥山君の、大きな手も




肥山君の、好きなものも。




全て好き!




そんな君が大好きで仕方ないんです!




どうかこの幸せな時間が永遠に続きますように…。