チャラい×真面目=事件!?

「(へ~、結構根性はあるんだ。午戸兎さんに感謝しなきゃ。)」



倉庫内を凝視し、耐える様に握った拳が震える。


そんな姿の上郡を横目に、蠍髪はそう思った。


今までならば、こういう現場だと、ひでーだの、あり得ねーだの、少なからず騒いでいたからだ。



午戸兎とのやりとりで、少し成長したらしい。




倉庫内の状況といえば、大方作業は終わったのだろう。

鑑識の数は疎らだ。



散乱した資材、特に乱れた場所は倉庫の中央付近。


酸化して赤黒くなった血は、そこから東側へ倉庫の外まで続いている。



「かなり争ったみたいだな。」


「そのようね。ただ争った割には、犯人に繋がるような証拠はまだ見つかっていないわ。」



戌籏の案内で、午戸兎も倉庫へ足を踏み入れた。



「午戸兎さん!ちょっといいですか?」



「ああ。なんだ?」



午戸兎の姿を見つけ、近づきながら声をかけたのは、鑑識の一人だった。