―ayuka―


言いたい事を言って
1人で結論を出して上條は歩いて行ってしまった


私は慌てて追いかけた


「上條…待って!!!」


「…追いかけてくるな」


私は上條の腕の辺りの服を掴んだ


「ちゃんと話を聞いてよ」


上條は背中を向けたまま立ち止まった



こんな事言っちゃいけないのかもしれない



「蓮は私にとって太陽」


「それさっき聞いた」


上條の低い呟く声が聞こえた



「最後まで聞いて
蓮が太陽なら
上條は私にとって暗闇を照らす月だよ」



上條がようやく振り返った


目が赤い

眉間に皺を寄せてる



「何が言いたい訳?」




「蓮が居なくて毎日寂しくて
真っ暗闇になったみたいだった
暗闇を照らしてくれる月みたいな
そんな存在が上條なの」



蓮の事は…まだ好き


だけど…悲しい時
切ない時

いつも傍にいれくれて

月みたいに暗闇を照らしてくれた




「そんな上條に甘え続けてきた
蓮と別れてないし…まだ蓮の事は好き」


上條が目線を逸らして悲しそうな表情を浮かべた




「でも…上條の傍にいたい
卑怯でずるいし
自分勝手だってわかってる」


上條に抱きしめられた


「俺の事…少しでも好き?」


「…好きだよ」


「2番目だよな?」


何も言えない


「いつかは1番になるから…
今は2番目で良いから俺といて?」


「…うん」


蓮と別れてないのに

蓮を好きなのに

上條にいくのは間違ってるかもしれない


でも…上條がいなくなるなんて耐えられない


上條に逃げてる


そう思われるかもしれないけど
いつも傍にいてくれる上條


田端さん達に絡まれた時助けてくれた

泣きたい時、抱きしめてくれた


その温もりに包まれると安心できた


蓮…ごめんなさい


押し込めてきたけど…上條の事も好き


同時に2人を好きなんて有り得ないよね


だけど…上條の手を振り払う事も出来ない