教室に戻ると

明日香が心配そうに見てくれてるのに


目を逸らした



今は明日香の顔が見れない


自分の席に座って顔を伏せた



自己嫌悪


今まさに私にピッタリな言葉



「辻さんちょっと良いかな?」


誰…この人



「…えっと…何ですか?」


「ちょっとついて来て」


廊下に連れ出された



「あの…俺、1組の小野って言うんだけど」


1組の小野君って
女の子をとっかえひっかえで有名な人だ



「岡野がアメリカ行ったから
別れたんだよね?
俺と付き合わない?」


なんで…何も知らない人にまで

別れたって言われなきゃいけないんだろう


私と蓮は…終わってないよね?


待っててって言われたし

さよならの言葉だってなかった


「…ごめんなさい」


「でも岡野から連絡もないんだろ?
それって終わってるんじゃない
岡野だって向こうで誰かいるよ
辻さんもさ、俺とどう?
優しく慰めてあげるよ」


連絡ないって終わった事になるの?

目の前が真っ暗になった


わかんないよ


そんな事言わないでよ


信じてる事が足元から崩れ落ちそう


だって…確かめたくても

蓮に直接聞く事も出来ない


『待ってて』

その言葉だけ…

その言葉だけを信じてきてた



「人の気持ちなんて簡単に変わるもんだよ?」


ナンデコノヒトハコンナコトヲイッテルンダロウ


涙が頬を伝わるのがわかるけど
微動だに出来ない


「おいっ
何泣かせてんだよっ」


声がする方に振り向いた


「何だよ、上條には関係ないだろ」


「辻を泣かす奴は許せない」


「あぁもうわかった
面倒くさいの勘弁だぜ」


ヤル気なさそうな返事をした後
小野君は私の横をすり抜けた


「岡野がいなくなってすぐ上條なんだ
辻さんも意外と軽いね」


すり抜ける時に小声で囁かれた