俺はホテルから視線を戻した。


すると目の前に百合が立っていて、「わっ」と、思わず声を上げて驚いてしまった。


「なに? そんなに驚かなくてもいいじゃない」


百合はクスクスって、パラソルの下に入ってきた。


「おっと、俺は邪魔みたいだな」


嵐がそう言い、立ち上がる。


「別に邪魔ってわけじゃないけど」


俺がそう言って引き止めようとしたが、嵐が下手なウインクをしてきたので口を閉じた。


まぁいいか。


百合の事は嫌いじゃない。


このメンバーの中では一番仲がいいし、一緒にいて安心できる相手だ。


「ねぇ拓夢」


隣に座った百合のポニーテールから、シャンプーの甘い香りがする。