この役立たずのせいで計画は台無しだ。


でも、ここでやめるワケにはいかない。


ここまできてしまったのだ。


良という目撃者もいる。


このまま月奈を返すワケにはいかなくなっていた。


俺は自分の背中に汗が流れるのを感じていた。


この俺が、こんな小娘にびびってるなんて……。


悔しさを感じる事さえ、許せなかった。


俺は自分のポケットに手を入れた。


いつも持ち歩いている護身用のカッターナイフが指先に当たる。


それはヒヤリと冷たくて、無機質だった。