忍び寄るモノ


「二人とも元気そうで何よりですね」

優しい声で言う高橋先生に私と岡本君はそろって「はい」と返す。

そう言えば今回の事件があって高橋先生のイメージがちょっと変わったことを思い出す。

土曜日に家まで来てくれた先生。

いつも学校で見るよりはほんの少しラフな服装をした先生が私と顔を合わせた途端に「無事で安心しました」と泣きそうな顔をするものだからすごくビックリしたんだよね。

思い返していると「気をつけて帰ってくださいね」と言った高橋先生に反応が遅れてしまい、「あ」と思っている間にドアを閉めて廊下を歩いて行ってしまった。

行っちゃった……って岡本君がいつの間にか入り口のほうに歩いてる!

さっきまで大笑いしてたのに何もなかったように涼しい顔をして鞄を持って歩いていた。

切りかえが早いのかよく分からなくてボーッと岡本君が歩いてく様子を眺めていたらドアの近くでこっちを向いた。

「折笠さんはまだ帰らないの?」

「えっ、帰るよ……?」

「じゃあ早く行こう」とドアを勢いよく開けて廊下に出る岡本君につられるように私も鞄を持って入り口に歩き出す。

ドアまでたどり着いて明かりを消そうとドアの近くにあるスイッチに手を近づけた。

──え……?

パチパチと蛍光灯の寿命がきた時みたいに点滅したような気がして私は後ろを振り返った。