「葉山桔梗(はやまききょう)、殺人及び誘拐、及び傷害の容疑で逮捕する」
松嶋さんは低い声でそう告げると私達から見えないように先生の手元を大きなハンカチで隠した。
ハンカチの中から物音がしてきっと手錠をかけられたんだと思ったけれど、私も岡本君も先生にかける言葉は見つからなくて。
先生はうつろな表情で私達のすぐ横を松嶋さんと一緒に通り過ぎていった。
「間に合って本当によかった……。この後病院で診てもらって、結果しだいですぐに話を聞かせてもらうことになるけど大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれた頼成さんに私達は揃って首を縦に振ったのだった──。
***
ほっとして痛み出した頭に私は頭に怪我をしていることに気づく。
岡本君も一緒だったみたいで二人そろって頼成さんに悲鳴みたいな声をあげられた。
すぐに病院に向かって頭や体に異常がないかの検査を順番に受ける。
頭の傷は治るのに何日かかかりそうだけど他は打ち身くらいで大事にはいたらないとお医者さんから診断結果を受けた。
「思ったより軽くてよかったね」
頭に包帯を巻かれた状態で待合室のソファーに並んで座り、私がそう言うと岡本君が頷いてくれる。
「本当にな。……けどそんなに時間が経ってないなんて思わなかった」
ふーっと長い息を吐いて岡本君はソファーの背もたれに体を預ける。
疲れてる様子が珍しくみえて私は浮かびそうになった笑みを引っこめた。

