忍び寄るモノ


私は奈々ちゃんと教室を出て歩く。

階段を下りて一階につくと奈々ちゃんが「あっ」と声を出して何かを言いたそうに私を見た。

「あー……。帰る前にトイレに行ってきてもいいかな……?」

もじもじと恥ずかしそうな奈々ちゃんの様子に、そう言えば女の子の日になっちゃってお腹が痛いって朝に言っていたことを思い出した。

「うん。ゆっくり行ってきて?」

「ありがとう!」

奈々ちゃんはほっとしたように笑うと下りたばかりの階段を上っていく。

私は玄関の近くで待っていようと思って廊下を歩く。

何人かの生徒がまわりを歩いているのを見ながら、少し離れたところを岡本君が歩いているのが見えた。

どうしたんだろう?

はっきりとは見えないけど岡本君の顔は何だか険しく見えて気になる。

こっそり後を追いかけてみると岡本君は保健室へと入って行った。

具合が悪いのか気になったのと、保健室のハサミの切れ味を悪くしたのが私かもしれないことを葉山先生に言おうと保健室に近づいていく。

ハサミのことをスマホで調べるのを忘れてたなぁとぼんやり思いながら保健室の扉に手をかけようと思った瞬間、中から何かを言い合うような声が聞こえて私は動きが止まる。