「岡本君」
「っ! ──なんだ、折笠さんか……」
ビクッと肩をはねさせた岡本君は私の方を見るとホッと息を吐いて言う。
その顔に笑みはなくて何かを考えているような表情に見える。
「俺に何か用事?」
「今日岡本君と奈々ちゃんと私の三人で帰らない?」
「いや……、今日はちょっと」
「あんまり考えてると体壊しちゃうよ! 少しは息抜きしないと!」
「ね?」と私が笑って迫ると少しの間の後に岡本君がふっと息をもらすように笑った。
「折笠さんってホント前向きなんだな。なんかこっちもつられる」
「それってほめてくれてるの?」
肩を動かしてるのを見るとなんだかほめられてる気がしない。
「俺はほめてるつもりだけど?」
クックッと声をもらして笑いだした岡本君に「早く帰ろう!」と無理やり話を終わらせて私は自分の席に一回戻る。
待っていてくれた奈々ちゃんまで笑っていて、私は何とも言えない気持ちになりながら机に置いていた鞄を手にとった。
「二人とも笑ってないで早く行こう!」
私は入り口まで早歩きして右手を大げさに振って手招きをする。
まだ笑ってる二人が気になるけど早く帰らなきゃと思って手招きを止めて教室のドアを開けた。

