忍び寄るモノ


職員室に入って鍵を返した私は高橋先生に「ありがとうございました」と言って急いで職員室を出る。

予鈴が鳴った後で急いでいるのもあったけど何だか胸がモヤモヤして落ち着かないような──。

教室に戻ってもモヤモヤはなくならないままで、ぼんやりとした様子で席に着いている岡本君を時々見ながら五、六時間目はいつも以上に長く感じた。


***


放課後になって帰りの用意をすませていく。

用意を終わらせて教室の中を見ればほとんどの生徒は帰ったり部活に向かったりしていて姿はなくなっていた。

その中でポツンと椅子に座ったままの岡本君が目に入ってきて気になってしまう。

「岡本くん元気なさそうだけど資料室で何かあったの?」

「うーん、あったと言えばあったかな……?」

私の席のところに来た奈々ちゃんが小声で聞いてきたから私も小さな声で返して首を傾ける。

昼休みのことを気にしてるんだと思うけど詳しい話を聞いてるわけじゃないからなぁ……。

「奈々ちゃん、岡本君も一緒に帰っていいかな?」

「えっ? わたしはどっちでもいいけど……」

「それじゃあ岡本君を誘ってくるね!」

誰かが声をかけなかったらそのままずっといそうだしここは声をかけて一緒に帰ろう!

私は勢いよく椅子から立ち上がって岡本君のところへ向かう。

すぐ近くまでいっても岡本君はぼんやりしているみたいだったから気づいてもらえるように私は岡本君の肩を軽く叩いた。