忍び寄るモノ


教室に入っていくと自分の席に戻っていた奈々ちゃんが呼んできた。

「なかなか戻ってこないから心配したんだよ?」

「ごめんね! 葉山先生に会ってここまで送ってもらったんだ」

「それならよかった。少し前に高橋先生が来たんだけど校内でもあまり一人にならないようにって言ってたから気をつけないと」

葉山先生にも注意されたけど担任の先生がわざわざ言いにくるなんて……。

先生達は校内の人に犯人がいるって考えているの……?

ううん。先生じゃなくて警察の人がそう考えて先生達に言っているのかもしれない。

先生も生徒もまわりの人を疑ってるのかな?

誰かに疑われているのかもしれない。そう思うと悲しい。

だけど例え疑われたとしても違うっていう確かな証拠がない。

言葉で否定するのは簡単だけど信じてもらうのって大変なことだと思うから。

今だって教室の中は話し声がほとんどしていなくて、まだ昼休みなのに授業が始まる直前みたい。

私は奈々ちゃんに席に戻ることを言って自分の席に向かう。

歩いている間にチクチクと視線が刺さっている気がするけど私は知らんぷりで自分の席に着いた。

それからスカートのポケットからスマホを取り出して画面をいじり始める。