「折笠さんは怖くないの?」
「え……?」
人の通りがほとんどない廊下を先生と歩いていると先生が小さな声で聞いてきた。
一瞬なんのことかなって思ったけどすぐに事件のことなんだろうと思った私は「うーん……」と声を出して考える。
「……怖くないって言ったら嘘になります。でも、姿が見えない犯人以上にクラスのみんながバラバラになりそうで怖いです」
他のクラスも学年も、左利きの人がいたらそれだけでその人が疑われるんじゃないかって思うから。
「折笠さんは強いのね。他の子達はほとんど早く犯人が捕まってほしいと怖がっているのに、あなたは他の子のことを心配できるなんて」
「そういう気持ち、先生は素晴らしいと思うわ」と目を細めて笑う先生。
先生が右手を私の頭にのせて優しくなでてくれるから照れてしまう。
誰かに頭をなでてもらうなんてかなり久しぶりで、懐かしい気持ちになりながら「ありがとうございます」と先生に返して、いつの間にか止めてしまっていた足をまた教室に向けて動かした。
***
教室の前で葉山先生と別れてドアを開けると一斉に教室の中から視線を向けられてビックリする。
みんなは私のほうを見たけどほんの数秒で興味をなくしたかのように視線を外していった。

